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荒れる中東情勢の今、日本からどうやって中東に物を送るか【2026年4月 最新版】

  • 執筆者の写真: Shun Inoue
    Shun Inoue
  • 3 時間前
  • 読了時間: 4分

ドバイ在住

・中東物流の現場から、今まさに日本企業が直面しているリアルをお伝えする。

ホルムズ海峡+紅海、「二正面危機」が現実に

2026年3月以降、中東情勢の悪化に伴い、ペルシャ湾とオマーン湾をつなぐホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となり、世界の物流と貿易に深刻な影響が出ている。

さらに深刻なのは「二正面危機」だ。アジアと欧州をつなぐ紅海でも2023年以降、フーシ派による船舶攻撃が続き、多くの海運会社が紅海・スエズ運河を避けて喜望峰ルートを選択してきた。フーシ派は2026年4月にも紅海での攻撃を示唆しており、再び緊張が高まっている。

つまり現在、中東の物流を支えてきた二大ルートが同時に機能不全に陥っている。


現場で何が起きているか



海(ホルムズ海峡)、港(湾岸各港)、保険(戦争リスク引受停止)、空(中東空域の断続的閉鎖)が同時に悪化しており、通常のBCP(迂回で解決)が効きにくい構図になっている。

具体的には、CMA CGMがバーレーン・クウェート・カタール全港向けのブッキングを停止。UAEについてはフジャイラとホール・ファッカンを除く全港が停止対象となっている。


では、今どうやって物を送るか

状況は厳しいが、ゼロではない。現状使える選択肢を整理する。

① 喜望峰ルート(現在の主流)

喜望峰を通航する船舶の数は、紅海での事案発生前と比べて80%近く増加している。マースク、ハパックロイドなど大手コンテナ船社も喜望峰経由の航路を基本方針としている。所要日数は従来比で約2週間増。コスト増と納期の見直しは必須だ。

② UAEのフジャイラ港経由(現実的な選択肢)

アジア発・UAE向けは、フジャイラ経由が現在もっとも現実的なルートだ。フジャイラはオマーン湾に面し、ホルムズ海峡の外側に位置するため、ジェベルアリ港が制限されている今も相対的に機能を維持している。ただし攻撃リスクはゼロではなく、保険・スケジュール両面での注意は引き続き必要だ。

フジャイラに揚げた後は陸送でUAEを横断し、ドバイ市内まで運ぶことができる。40フィートコンテナであれば内陸輸送はUSD 3,000〜3,500程度が目安だ。

また、物量がそれほど多くない場合はLCL(混載便)という選択肢もある。2026年5月上旬までは関西発の配船サービスが確保されており、5月中旬以降は関東発からも船が再開する予定だ。フルコンテナを組めない荷主にとっては、今もっとも使いやすい現実解のひとつといえる。

③ 航空貨物(高付加価値品のみ)

医薬品・精密機器・半導体関連・AOG部品など時間価値が高い貨物については、航空貨物が現実的な選択肢となる。ただし中東空域の断続的な閉鎖により、欧亜間の空の回廊が細り、運賃上昇と遅延が発生している点は押さえておきたい。

④ 国際宅配便・貨物専用機(少量貨物向け)

少量貨物であれば、DHLやFedExといった国際宅配便は現在も稼働しており、送ることが可能だ。

また、ドバイのDWC(アルマクトゥーム国際空港)も現在稼働中だ。同空港は通常、貨物機専用として運用されており、旅客便が集中するドバイ国際空港(DXB)とは独立した運用体制を持つ。混乱が続く中でも機能を維持しているため、ある程度まとまった量の航空貨物を送る際の選択肢として検討に値する。

③と④を合わせて整理すると、少量はDHL・FedEx、ある程度の量はDWC経由の貨物便、と使い分けるのがひとつの目安になる。

⑤ 停戦動向を見ながらタイミングを計る

4月8日にトランプ大統領がイランと2週間の停戦に合意したと発表したが、恒久的な和平への交渉は難航しており、状況は流動的だ(4月13日時点)。短期的な停戦合意を逃さず動ける体制を整えておくことも、重要な戦略のひとつだ。


日本企業へのアドバイス

まず今すぐ取るべきアクション

フォワーダー・船社との連絡を密にし、ブッキング可否と最新サーチャージを毎週確認する習慣をつけること。仕向け地が湾岸(UAE・サウジ・カタール等)の場合、通常より4〜6週間の余裕を持ったリードタイムで計画を立て直すこと。また、戦争リスク保険の適用状況を貨物保険会社に改めて確認することも急務だ。

物流を動かすべきか、待つべきか

「今送るべきか、情勢が落ち着くまで待つべきか」——そう悩んでいる担当者も多いと思う。ひとつの判断軸として参考にしてほしい。

現状、コンテナ1本あたりの輸送コストは100万円を軽く超える水準だ。では、停戦が実現すれば運賃はすぐ下がるのか。答えはNOだ。

戦時中に高騰した重油を抱えたまま運航を続けてきた船社は、そのコスト負担を海上運賃に転嫁せざるを得ない。また、混乱期に積み上がった損失の回収も必要だ。歴史を振り返っても、情勢が落ち着いてから運賃が実際に下がるまでには相応の時間がかかる。

つまり、「落ち着いてから動く」は必ずしも得策ではない。リスクを十分に把握したうえで、今動く判断をする方が、トータルでは賢明な選択になり得る。



 
 
 

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